山月記

己は詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
中島敦山月記

高校以来、久しぶりに読んで、
当時思い至らなかった箇所で思わず涙してしまいました。
自分も、己の珠に非ざるを惧れ、また同時に己の珠なるべきを信じて、
それ故に路頭に迷っているような状態にあるのではないかな?と感じています。
私と李徴にどれ程の差があるのでしょう?
内なる虎を抱え込んで。