きみの処方箋

月村奎の「きみの処方箋*1」を読了。
何だか色々忙しくて、
きちんと本を読めない日々が続いて
非常にストレスの溜まる月でしたが、
なんとか落ち着いて本を読める環境になったので、
貯めていた本をぼちぼち読もうかな、と。


親戚に引き取られた智朗と
その家の子で心臓に病を持つ克己。
二人は高校生。
生い立ちにコンプレックスを持ち、
どこまでもクールに振舞う智朗は
背伸びしているようでとても愛らしい。
内なる負の面を意識し過ぎてしまう部分は
自分にも通じるものがあって、
読んでいると息が苦しくなります。
克己は芯から明るそうなキャラですが、病を抱え、
内心、きっと思うところがあるのだろうなと考えます。
「誰かに必要とされることに
 存在意識を見いだそうとするのは不毛だと思う。
 大事なのは自分が誰かに必要とされてるか、じゃなくて、
 誰かを必要としてるか、じゃないかな」 
終盤、吐露される彼のこの気持ちは重く切ないです。
他者に存在意識を見出そうとして、
どうしても存在理由が揺らぎがちに思える自分は、
克己の言うとおり不毛なことをしているのかもしれません。
克己のように、意識を切り替えられたら良いのにと思えて
仕方ありません。

*1:

きみの処方箋 (ディアプラス文庫)

きみの処方箋 (ディアプラス文庫)