アナトミア

藤たまきの「アナトミア*1」の感想を書くのを忘れてました。
タイトルと冒頭に出てくるLa Specolaの描写の所為で、
もっと猟奇的な内容なのかと思ってしまいました。
ところで、作中で"LA SPECOLA"ときちんと描かれているにも拘らず、
登場人物の台詞でも作者後書きでも
「ラ・スコペラ」と記載されているのは内緒です。
恐らく、前者の方が正しいはずです。


お気に入りキャラはジョー。
彼の童貞脱出作戦が本作の見所(結局駄目だったけれどさ)。
「だって止めたってさ…どうせ目が追いかけてしまいそうなんだ」とか
「彼女の事好きになったからちょっとぐらい自分が壊れても」とか
健気な台詞が多くて応援したくなってしまいます。
主人公のルーサはそんなジョーを呆れ顔で見つつ、
「思春期の男はバカばかり
 自尊心とSEXへの興味ばかりで暮らしている」なんて達観していたのに、
後半、寝起きにエバからお預けを食らって
「だったらやらせてくれっての!」なんて言っていて
その変わりっぷりに笑ってしまいました。
巻末の4コマで「キャリアを積もうと風俗で練習した事がある!」なんて
言われてて、ちょっと何だか可愛げ。


「愛ってさ…
 ただ一緒に居続けるって事なんだ―
 生きてる時も死んだ後も…」
夜道を駆け戻ったルーサの絞り出したこの言葉が凄く好き。


何かを描写する時、エンリケが言ったように
「手で触れ、肉で感じたい」と云うのは凄く分かります。
直接的な接触は理解を強めてくれる(少なくともそんな気にさせる)。
触覚は原始的だけれど、とても本能に訴えかける感覚です。

*1:

アナトミア (ミリオンコミックス)

アナトミア (ミリオンコミックス)